毎年、甲子園が終わった後は、甲子園ロスになる。
毎日、テレビをつければ、一日中高校野球をやっている。
まるでBGMのようだった。
それがプツリと終わってしまう。
なんだかもの悲しい気分に包まれたまま、いつもの生活が進んでいく。
今年は特に、王者大阪桐蔭を破った下関国際の試合を見たことで、いつもより印象が深い。
特にリリーフでマウンドに立った下関国際の仲井投手に心を持っていかれた。彼の闘志溢れるピッチングに魅了された。
強打者揃いの大阪桐蔭のバッターに対して投げ続けた、右打者の外角一杯に投げ込むMAX148キロのストレート、そして.左打者の膝下に鋭く落ちるキレのいいスライダー。
あの大阪桐蔭のバッターがうちあぐむのを初めて見た。
最近の甲子園は、甲子園常勝チームががそのまま優勝するケースが多くなっていた。
なんだかつまらないなぁと思っていた。
全国から有望な選手を集めて、練習環境も最新の設備に整えているチームが勝つ。
それはそれでいいのかもしれない。
勝つための努力を最大限しているのだから。
しかし、高校野球は地元の選手が集って、地元の応援に支えられて、予選を勝ち抜いてこそ、高校野球野球なんじゃないだろうか?
地元の人たちが、街を上げて応援しまくる、そこには、ただ勝つためだけに野球をやっているチームにはない大切なものがあるような気がする。
自分の勝手なイメージだけど.仲井投手の顔、特に、キャッチャーのサインを覗き込む時の顔が、田舎で泥んこになって野球やってきました的で実によかった。
一球一球に彼の闘志の全てが込められてきるようだった。
そして、勝った。
勝った時の彼の歓喜のガッツポーズ!
思いっきり拳を斜めに突き上げながらマウンドから駆け降りてきた。
感動した。
そして、準決勝で春の準優勝校であり、大会屈指のピッチャーと言われている山田投手との対戦があった。
これも見事に打ち破った。
仲井投手の外角低めのストレートと膝下に食い込むスライダーで近江バッターを沈黙させた。
しかし、決勝戦にそのボールを狙われた。
仙台育英の監督の指示だと思うが、狙い球の絞り方は徹底されていた。
下関国際の先発ピッチャー古賀くんのスライダーを狙い撃ちして、早々にマウンドから引きずり下ろした。
さらに、リリーフの仲井投手も、スライダーに山をはられて打ち込まれた。
特に左打者の内角は、待ってましたと言わんばかりに打ち込まれた。
試合後の、仲井投手の号泣する姿を見るのが辛かった。
春の優勝校と純優勝校に勝って、おそらく想像以上に疲れが溜まっていたんだと思う。
決勝戦のボールは、それ以前の試合ほどボールに力はなかった。
下関国際の選手の涙を見るのが辛いから、その後、テレビを見ていない。
でも、夏の甲子園が戻ってきてよかった。
彼らに負けないように、自分もがんばろうと思う。